ものを見たときに両目が同じ方向を向いていない状態を斜視といいます。
時々(間欠性に)片方の目の位置が外側にずれる(外斜視)ものを間欠性外斜視といいます。
間欠性外斜視は、最も多くみられる斜視です。
普段は両目で正面を見ていますが、ぼーっとしているときや疲れたときなどに、片目だけが外側を向きます。
実際は外斜視の状態が本当の姿であり、無意識に外斜視を無くそうと努力して目を中央に寄せることで、正面を見ることができています。
まっすぐ見ているときは、寄り目の力を使った緊張状態ですので疲れやすく、気が抜けたときには外斜視になってしまいます。
初めはご家族が、普段は両目でまっすぐ物を見ているのに、時々片目が外を向くことがあることに気付かれることが多いです。
初期であれば、注意すればすぐに寄り目の力を使って正面を向くことができるのですが、年齢とともに目の位置を正面に保つ力が弱まり、外斜視になる頻度や視線のずれが大きくなっていきます。
また、明るい所でまぶしそうに片目をつぶる症状がでることもあります。
正常な状態では、左右それぞれの目でものを見て、その映像を脳で処理して1つに統合しています。
大人が斜視になると、ものが二重に見えること(複視)がありますが、子どもが斜視になっても、複視を訴えることは少ないです。
これは、斜視の目で見た映像を無意識に脳で消すこと(抑制)で、正面を見ている目の映像だけを脳で映像化しているためです。
「抑制」という機能のお陰で、子どもは複視に苦しむことはありませんが、外斜視になっている時には片目でしかものを見ていませんので、奥行きの感覚や立体感(両眼視機能)が低下することがあります。
大人で斜視が出現した場合は、複視や眼精疲労の原因になります。また、加齢によって目線を元の位置に戻せなくなり、外斜視になる頻度や視線のずれが大きくなりますので、「見た目」の悩みが大きい傾向があります。
間欠性外斜視の重症度は斜視の角度と頻度で判断し、角度が大きいほど、頻度が高いほど、重症です。
間欠性外斜視は、角度と頻度が変動するという特徴をもっています。
診察室では患者が精神的に緊張しているために外斜視が出にくく、軽症に見られることもあります。
診察のたびに重症度が変動しますので、眼位を少なくとも3回は繰り返し確認し、最も重症なときの検査結果で治療方針を決定します。
間欠性外斜視だけで他の病気が合併していなければ、治療に緊急性はありません。
しかし、間欠性外斜視を放置すると、60%は現状維持、20%は悪化します。