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2018.12.16

ものが2重に見える時


 

複視とは、1つしかないものが2つ以上に見えることであり、原因によって大きく2つに分かれます。

単眼性の複視と、両眼性の複視です。

両者の違いは、片方の眼を隠すことで判別できます。
単眼性の複視と両眼性の複視の判別は、とても重要です。

なぜなら、解決法が全く違うからです。

 

1. 片眼を隠しても2重に見える

 

片方の眼で見ても、ものがダブって見える場合は、単眼性の複視です。
はっきりと2つに見えるというよりは、ものの輪郭がぼやけて2重3重に見えることが多いです。

単眼性の複視の原因は、眼球自体にあります。

その多くは、近視や遠視、乱視などの屈折異常によるものや、白内障などによるものです。

したがって、治療は眼科で行い、眼鏡による矯正や、白内障手術などを行います。

 

2. 片眼を隠したら2重に見えない

 

両眼で見た場合にのみ、ものがダブって見える場合は、両眼性の複視です。
1つのものが上下・左右・斜めなどにずれて2つに見えることが多いです。
両眼性の複視の原因は、左右の眼球の位置がずれたり、眼の動きが鈍くなることにあります。
われわれは両眼でものを見ていますが、両眼同じように動くように脳から指令が出ています。

その指令どおり眼球を動かす操作をしているのが、神経であり、眼の筋肉(眼筋)です。

指令を出している脳や、その操作をしている神経、眼筋に異常が生じた場合、両眼同じように動くはずの左右の眼の位置や動きのバランスがくずれます。

このように何らかの原因で神経に障害が生じ、支配されていた眼筋に麻痺が起こると、複視が起こります。

 

眼科では、まず麻痺の有無や程度を調べます。

次に、眼筋を支配している神経が脳の中枢から眼筋まで到達する間の、どの部分で異常があるかを調べます。
まれに脳梗塞や脳腫瘍や脳動脈瘤などの重大な病気が隠れていることがありますので、頭部の断層撮像検査であるMRIを受けていただくことになります。