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2020.06.20

春季カタルについて

 

春季カタルは重症のアレルギー性結膜炎です。

“春季“は春から夏にかけて悪化することが多いためで、“カタル”は分泌物が多い状態のことをいいます。

アレルギーを起こす原因は様々で、必ずしも春季に発症するわけではありませんが、6月頃の高温多湿の時期に悪化しやすいため、ダニやハウスダストなどが主な原因と考えられます。

 

症状は、充血、異物感、白い目ヤニなどであり、角膜に傷ができると痛くて目が開けられなくなります。

5歳から10歳までの男児に多く発症し、16歳以降は症状が落ち着きますが、アトピー性皮膚炎がある方は症状が続くこともあります。

 

春季カタルは2つのタイプがあります。

上まぶたの裏の粘膜が石垣のようにゴツゴツと盛り上がる眼瞼型と、角膜の周りの白目部分が充血して堤防のように盛り上がる輪部型です。

重症の眼瞼型では、強い炎症反応による角膜障害や、まぶたの摩擦によって角膜の表面が剥がれると、痛みが強くなり、視力が低下することがあります。

 

眼瞼型。上まぶたの裏の粘膜がボコボコと石垣のように隆起しています。

 

輪部型。角膜の周囲の粘膜が赤く盛り上がっています。

 

 

春季カタルの治療には、免疫抑制剤の目薬が有効です。

角膜の傷が重症の場合は、ステロイド薬の目薬を追加します。

長期間目薬をすると、免疫抑制剤は角膜ヘルペス、ステロイド剤は眼圧上昇の副作用が出る可能性がありますので、症状が良くなれば抗アレルギー剤の目薬に切り替えて様子を見ます。

 

治療前。上まぶたの裏の粘膜が石垣のように隆起しています。

 

治療後。点眼薬で粘膜の隆起が消失しました。

 

治療前。強い炎症によって角膜の表面が剥がれてキズになっています。

 

治療後。点眼薬で炎症を抑えることで、角膜が修復されました。