緑内障は、眼球の後ろにある視神経がいたんで視野(見える範囲)が狭くなる病気であり、患者数が近年急増していることが社会問題になっています。
初期には全く自覚症状はありませんが、進行すれば視野がせまくなり、末期になると視力が低下します。
自覚症状がほとんどないため、気がついたときには、すでに病気が進行していることが少なくありません。
厚労省の患者調査によると、緑内障の患者数は1996年(平成8年)の39万人から2014年(平成26年)には106万人と、約20年で2.5倍に増加しました。
緑内障患者数が急増した原因として、高齢化による実患者数の増加というよりは、これまで眼科にかかっていなかった「隠れ緑内障」の方が、検診などで緑内障が疑われて眼科を紹介されるケースが増えた影響が大きいと考えられます。
2000年から2001年にかけて岐阜県多治見市で行われた「多治見スタディ」という緑内障疫学調査では、加齢とともに有病率が増加し、40歳以上では5%程度の割合(20人に1人)、60歳以上では10%の割合(10人に1人)で緑内障患者さんがいることが報告されました。
これは、日本人全体では約400万人の患者さんがいることが推定されますので、他人事ではありません。
さらに、調査で緑内障と診断された方の約90%の方は、自分が緑内障だということに気づかずに眼科にかかっていなかったことが分かりました。
衝撃的な疫学調査結果であった多治見スタディから15年が経ち、検診や社会的啓蒙も改善していますので、現在は未受診の緑内障患者さんの数は減っていることが推測されます。