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2017.02.18

近視の疫学調査について

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文部科学省の学校保健調査によると、小学生における「裸眼視力1.0 未満の割合」は年々増加傾向にあり、昭和54年(1979年)には17.91%でしたが、平成27年(2015年)には過去最高値の30.97%を記録しました。

幼稚園生、中学生、高校生における「裸眼視力1.0 未満の割合」も同様に増加傾向にあり、過去最高値を更新し続けています。

この「裸眼視力の低下」の原因のほとんどは近視と考えられるため、この結果は、わが国の近視人口が増加し、低年齢化していることを示しています。

 

また、2000年から2001年にかけて岐阜県多治見市で行われた「多治見スタディ」という疫学調査では、40歳以上の近視の有病率(-0.50D未満)は 41.8%でした。

また、年代別に近視の有病率をみてみると、40~49 歳では全体 の 69.0%、50~59 歳では 46.0%、60~69 歳では 21.5%、70~79 歳では 16.0%であり、年代が若くなるほど近視の有病率が高くなっていました。

 

日本人はほぼ単一人種であるため、近視の原因が遺伝素因によるもののみとすると、近視人口の増加や低年齢化の説明がつきません。

近視の発症と進行には、遺伝素因以外に環境要因が大きく関与していることが示唆されます。

 

同じ年齢であっても、都市部に在住し、勉強などの近見作業を長時間していて、外遊びの時間が少ない子供は、近視が進行しやすいことが知られています。

どのような環境下で子供時代を過ごしたかによって、近視の有病率は大きく変わるのです。

また、小学生でも低学年ほど近視進行速度が速いことから、近視進行予防を始めるなら小学校低学年からが望ましいと考えられています。