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2017.01.04

近視の進行を抑える目薬「マイオピン」とは

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当院では、マイオピンというお薬を一日一回点眼することによって、近視の進行を抑制する最新治療を始めました。

 

  • マイオピンとは

マイオピンは、学童期の近視の進行を抑制させることを目的にアトロピンを0.01%配合させた点眼薬で、Singapore National Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発されました(Ophthalmology 2012;119(2):347-54)。

 

  •  近視の進行を抑制することが大切な理由

子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。

近くで見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。

そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。

低濃度アトロピン(マイオピン)には眼軸長を伸展させる働きに関連するムスカリン受容体をブロックする効能があると言われています。

 

プレゼンテーション1

 

 

  • マイオピン点眼薬が選ばれる理由

アトロピン配合点眼薬は、近視の進行を抑制させる点で統計的にも臨床的にも効果が確認されている唯一の治療法です。

アトロピン1%は1960年から近視治療用に使用され続けています。

しかしながらアトロピン1%は下記のような不快な副作用を引き起こします。

 

  1. 瞳孔の拡張に起因するまぶしさがでます。
  2. 目の遠近調節機能(短焦点機能)の低下を理由に近くの物がぼやけて見え、読み書き等近くを見る必要がある作業に困難が生じる
  3. アレルギー性結膜炎及び皮膚炎

 

マイオピンはアトロピンの局所点眼を超低濃度から処方することにより最適な近視抑制を実現するので、近視の進行スピードを効果的に抑え、同時にアトロピン1%による不快な副作用を回避します。

 

  • マイオピンの特徴
  1. 副作用がほぼ皆無の近視抑制薬です。
  2. 近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
  3. 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
  4. 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。
  5. 近見視力の低下に殆ど影響を与えず、更に累進屈折眼鏡も不要です。
  6. 毎日就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です。
  7. 目薬(1本5㎖)は両眼用で1カ月の使い切りです。
  8. 点眼薬はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。

 

*近視の進行が完全に止まるわけではありませんが、少なくとも2年間継続して使用することで何もしない方と比べ近視の進行を軽減できたという報告を基にしています。

 

2年間で約60%の近視抑制効果!

マイオピン効果グラフ

 

  • マイオピンの安全性について

シンガポール国立眼科センターのアトロピン0.01%の効能・効果及び安全性の研究(点眼を2年間継続した後によるもの)では以下のように報告されています。

 

  1. アレルギー性結膜炎及び皮膚炎はほとんど引き起こしません。
  2. 眼圧に影響を与えません。
  3. 白内障をおこしません。
  4. 点眼終了後も、目の遠近調節または恒久的な瞳孔の拡張機能が喪失することはありません。
  5. 網膜の機能に一切影響を与えません。