学校検診の視力検査で、視力が1.0に満たない場合は、眼科受診をすすめられます。
視力低下の原因は、ほとんどが近視などの屈折異常によるものなので、通常は眼鏡をかければ視力が1.0でます。
眼鏡をかけても視力が改善しない場合は、眼底検査や視野検査、網膜電位図、頭部CTなどを行って、眼や脳の病気がないか徹底的に調べます。
しかし、いくら検査をしても視力低下を説明できる病変が見つからない場合は、「視力障害の原因は不明」と説明するしかなく、原因不明の視力障害の中で、心理的ストレスの関与が疑われれば、「心因性視力障害の可能性がある」と診断されます。
目でとらえた情報は脳で映像化されますが、思春期前の脳は不安定なため心理的ストレスの影響を受けやすく、一時的に脳が映像化しようとしなくなることがあります。
ストレスが原因ですので、眼には異常がありません。
これを心因性視力障害といいます。
心因性視力障害の特徴は、次の通りです。
- 8〜12才に多い
- 女性が男性の3倍多い
- 両眼性の視力障害が多い
- 視力が悪い割には、本人は日常生活で不自由そうにしていない
- 視野が極端に狭かったり、不規則な視野欠損を生じることが多い
- プラスとマイナスのレンズを組み合わせて、レンズを2枚重ねることで裸眼と同じ状態をつくって視力を測定すると、視力が出る(視力は裸眼と同じになるはずですが、眼鏡による暗示効果によって、心因性視力障害では改善することがあります)
- 75%が数か月で自然に回復するが、25%が慢性化し、長くなるほど回復しにくい