乱視の種類と程度は、角膜形状解析という機器で診断し、対処法を検討します。
この機器は、角膜表面のカーブを部分部分で測定し、カーブの強弱をカラー表示で表示することができます。
角膜形状解析で撮影した角膜の代表例を以下に挙げていきます。
↓乱視のない角膜です。中央の十字マークの周囲が全て同色の黄緑色で表示されています。
角膜の表面が歪みのない理想的な球面に近い形をしているため、乱視がないことを表しています。
↓横方向には黄緑色ですが、縦方向にオレンジ色の「砂時計型」です。オレンジ色の方向に角膜のカーブが強いことを示しています。
1方向(この場合は縦方向)にのみ角膜が歪んでいる乱視(正乱視)ですので、眼鏡やソフトコンタクトレンズで矯正ができます。
縦方向にのみ角膜の歪みがある場合を「直乱視」といって、若年者に多いタイプです。
↓縦方向には黄緑色ですが、横方向にオレンジ色の「蝶ネクタイ型」です。オレンジ色の方向に角膜のカーブが強いことを示しています。
1方向(この場合は横方向)にのみ角膜が歪んでいる乱視(正乱視)ですので、眼鏡やソフトコンタクトレンズで矯正ができます。
横方向にのみ角膜の歪みがある場合を「倒乱視」といって、高齢者に多いタイプです。
↓角膜下方の赤色部分に強い歪みがあり、中央の十字マークの周囲が非対称の形になります。
角膜が不規則に歪んでいる乱視(不正乱視)ですので、眼鏡やソフトコンタクトレンズでの矯正は難しく、ハードコンタクトレンズで矯正します。
ハードコンタクトレンズと角膜の間のスペースが涙で満たされて、乱視を打ち消すことができます。
↓この角膜に帯状の光を斜めに当てると、角膜形状解析で赤色に表示された部分の角膜が前方に突出していることがわかります。これは「円錐角膜」という病気です。
↓角膜下方の青色部分はカーブが弱く、その両側のオレンジ色部分は反対にカーブが強く、角膜下方が不規則に強く歪んでいます。これもハードコンタクトレンズで矯正します。
↓この症例では、角膜下方の白目との境界部分が薄くなっています。上記の角膜形状解析をしないと、角膜に複雑な歪みがあることは分かりません。
これは「ペルーシド角膜変性」という原因不明の病気です。
↓角膜中央から左下方の青色部分はカーブが弱く、右上方のオレンジ色部分でカーブが強く、不規則に強く歪んでいます。
これもハードコンタクトレンズで矯正します。
以前に受けた角膜外傷と、角膜中央に異物が刺さったことによる後遺症です。
つまり角膜乱視のほとんどは、生まれつきや加齢変化による「正乱視」で、眼鏡で矯正できます。
一方、病気や外傷による非対称な「不正乱視」は、ハードコンタクトレンズで矯正します。