黄斑外来とは、黄斑という網膜の中心部に異常を来たす疾患を治療する外来です。
黄斑は、ものを見るのに重要な部分で、黄斑が障害されると視力が大きく低下します。黄斑は網膜の一番内側の組織がないため、正常な黄斑部は凹みがあります。
黄斑外来では、日本でも中途失明原因の上位となっている加齢黄斑変性を中心に、中心性漿液性脈絡網膜症など黄斑部に関係する様々な眼疾患を診断・治療しております。
網膜は層構造になっており、その層構造を断面的に観察する検査です。網膜のむくみの状態がわかります。黄斑浮腫の診断や治療効果の判定に非常に有用です。
加齢黄斑変性とは、加齢とともに黄斑に異常をきたす疾患です。脈絡膜にある悪い血管(新生血管)から出血や水漏れによって黄斑が障害されると、視力が落ちたり、物が歪んで見えたりします。
治療は、抗VEGF薬(新生血管を沈静化させる薬)を、眼内に注射します。
[眼底写真]
黄斑に出血とむくみが見られます。
◎治療前
[断層写真(OCT)]
黄斑に新生血管から染み出た水(黒い部分)によって、網膜はく離が起こっています。
◎治療後
[断層写真(OCT)]
抗VEGF薬による治療後、網膜はく離がなくなり、視力が改善しました。
中心性漿液性脈絡網膜症とは、網膜の下から水が漏れ出てきて黄斑が浮き上がった状態になる病気です。視野の中心が見えにくくなります。経過観察をしても良くならない場合 、水が漏れ出しているところにレーザーをあてて水漏れを止める治療を行います。
[眼底写真]
黄斑にむくみが見られます。
◎治療前
[断層写真(OCT)]
漏れ出した水によって、網膜はく離が起こっています。
◎治療後
[断層写真(OCT)]
内服薬による経過観察で、網膜はく離が消失し、視力が回復しました。
黄斑付近に毛細血管瘤と呼ばれる血管のコブが現れ、そこから血液や血液の成分(たんぱく質や脂肪など)が漏れ出して黄斑にむくみを生じた状態が糖尿病黄斑浮腫です。
黄斑の働きが障害されると、視力が大きく低下したり、物がゆがんで見えます。血液成分が漏れ出ている部位にレーザー光を当てて、血液成分の漏出を防ぎ、黄斑浮腫を改善させます。
[眼底写真]
黄斑にむくみと黄白色の浸出物があります。
[蛍光眼底造影]
水が漏れ出しているところを特定し、レーザーを照射しました。
◎治療前
[断層写真(OCT)]
毛細血管から染み出た水(黒い部分)によって、黄斑がむくんでいます。
◎治療後
[断層写真(OCT)]
レーザー治療後、黄斑のむくみがなくなり、視力が改善しました。
黄斑に穴が開いてしまう病気で、硝子体に黄斑が引っ張られて穴が開くと考えられています。黄斑円孔ができると視力が低下し、視野の中心が見えにくくなります。硝子体手術によって90%以上の確率で円孔は閉じ、視力回復が期待できます。
[眼底写真]
黄斑に穴が開いています。
◎治療前
[断層写真(OCT)]
黄斑に穴が開いています。
◎治療後
[断層写真(OCT)]
硝子体手術による治療後、黄斑の穴が閉じています。