糖尿病網膜症外来 Diabetic Retinopathy

豊富な知識と経験を生かした、安心で有益な治療

院長は、大学病院の網膜専門外来、出田眼科病院(熊本)や町田病院(高知)といった大規模の眼科専門病院で、数多くの重症の糖尿病網膜症の診療を経験してきました。
また、糖尿病網膜症に関する論文や学会発表を、国内外で多数行ってきました。これまでの豊富な知識と経験を生かし、地域の患者さまに安心で高度な医療サービスをご提供します。

きめ細やかな診察と最新の検査機器により、早期発見・早期治療に努め、患者さまにとって最も有益な治療を選択しご提供します。

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糖尿病網膜症とは?

糖尿病網膜症は糖尿病にかかったことにより起こる合併症の一つで、失明原因の第2位です。日本人の糖尿病患者さまのうち糖尿病網膜症にかかっている割合は約15%とされ、約140万人が糖尿病網膜症にかかっていると推定されています。
網膜は、目の中に入ってきた光を受け取りそれを脳に伝える役割があり、カメラでいうとフィルムの働きをしています。

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血糖が高い状態が長く続くと網膜にある血管は細いので特に障害を受けやすく、血管がつまったり血液成分が漏れたりして、かすみや視力の低下などの症状の原因になります。糖尿病網膜症の怖いところは、見にくい症状のないまま進行すること。自覚症状が現われたときにはすでに失明の危機にひんしていることも多いです。

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なぜ網膜症になるのか?

糖尿病網膜症は、糖尿病による高血糖に長期間さらされることで網膜の血管が徐々に壊れていくことに伴って進行します。網膜の血管障害が進行すると、血管が狭くなったり詰まったりして、血液が網膜に流れなくなります。そして血液が網膜に流れなくなると、網膜では新しい血管(新生血管)が作られます。新生血管はもろく壊れやすいので、出血を起こすこともあります。また、増殖膜が収縮して網膜を引っ張り網膜剝離を引き起こすこともあります。

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糖尿病黄斑浮腫とは?

網膜中心部にあり、物を見るのに重要な部分を「黄斑」と呼びます。

黄斑付近に毛細血管瘤と呼ばれる血管のコブが現れ、そこから血液や血液の成分(たんぱく質や脂肪など)が漏れ出して黄斑にむくみを生じた状態が糖尿病黄斑浮腫です。
黄斑の働きが障害されると、視力が大きく低下したり物がゆがんで見えます。

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正常な状態

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黄斑にむくみが生じている状態(黄斑浮腫)

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精密検査の方法

精密眼底検査

瞳を大きく広げる目薬をさし、眼底を詳しく調べます。自覚症状が全くない初期の段階でも、異常を発見することができます。糖尿病と診断されたら、眼科医による定期検査を習慣付けてください。

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三次元眼底画像解析装置(OCT)

網膜は層構造になっており、その層構造を断面的に観察する検査です。網膜のむくみの状態がわかります。糖尿病黄斑浮腫の診断や治療効果の判定に非常に有用です。

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蛍光眼底検査

蛍光色素の入った造影剤を腕の静脈から注射して、眼底カメラで眼底の血管を観察します。

毛細血管が詰まっている部分はどこか、網膜の血管から血液の成分が漏れているかどうか、漏れていればその場所はどこか、といったことも判定できます。

レーザー光凝固が必要かどうかを判断するうえで、重要な検査です。

治療方法

薬物による治療法には、抗VEGF薬やステロイド薬による治療があります。これらは網膜や黄斑を傷つけることはなく、初期に治療すれば、黄斑浮腫の改善とともに視力が回復します。即効性はありますが、効果が数カ月で消えるので繰り返し注射が必要になることが多いです。外科的な治療法には、レーザー光凝固と硝子体手術があります。病態に応じて治療法を選択し、場合によっては複数の方法を組み合わせて治療を行います。

糖尿病網膜症に対する治療

レーザー光凝固

網膜の酸素不足を解消するために、レーザーによる網膜光凝固を行います。

この治療で誤解を生みやすいのは、今以上の網膜症の悪化を防ぐための治療であって、決して元の状態に戻すための治療ではないということです。網膜光凝固は、網膜の一部を焼いて間引くことにより、全ての網膜が共倒れになるのを防ぐために行いますので、多くの場合、治療後の視力は不変かむしろ低下します。
網膜光凝固は早い時期であればかなり有効で、将来の失明予防のために大切な治療です。

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硝子体手術

硝子体出血や網膜剥離が起こっている場合に行われる手術です。眼の中の出血や増殖膜を取り除いたり、はがれた網膜を元に戻したりします。

糖尿病黄斑症に対する治療

レーザー光凝固

毛細血管にできたコブ (毛細血管瘤)や、血液成分が漏れ出ている部位に、レーザー光を当てて、血液成分の漏出を防ぎ、黄斑浮腫を改善させます。

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抗VEGF薬の
硝子体注射

血管が詰まって網膜が血液が足りない虚血状態になると、VEGFという蛋白が発生することがわかっています。
このVEGFは網膜の毛細血管から血液成分が漏れ出すのを促す作用があり、黄斑のむくみの原因となります。このVEGFを抑えるため、抗VEGF薬を目の中の硝子体に注射すると黄斑のむくみが改善します。

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ステロイド薬の
テノン嚢下注射

ステロイド薬は、血管から血液成分が漏れ出すのを抑える働きがあります。ステロイド薬を眼球の後方(テノン嚢)に注射すると血管から血液が漏れ出しにくくなるために、黄斑のむくみが改善します。

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硝子体手術

硝子体を切除することにより、網膜への硝子体の牽引を除去したり酸素の供給を高めたります。

院長から

治療は「治す」というよりも「修理」です。治療しても完全に元通りにはなりません。
 
だから一番大切なことは、「修理しないといけない状態にしないこと(予防)」と「修理しないといけない所はなるべく早めに処置をしつつ、長持ちする方法を考えること(早期発見・早期治療)」です。
 
視力が低下してから治療を受けるのでなく、視力が低下する前から定期的に検査を受け、必要な時期に適切な治療を受けられるようにしましょう。

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