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2016.11.05

内服薬に「緑内障の方は注意」とある場合

バージョン 2

 

薬局で風邪薬を買う時や、睡眠薬をもらう時に、「緑内障治療をしているなら眼科医に内服しても大丈夫か相談してください。」と言われることがあります。

これは、すでに隅角(房水の排出口)が狭くなっている方が内服薬を飲むと、さらに隅角が狭くなって眼圧が上昇する可能性があるためです。

風邪薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などには抗コリン作用があり、内服すると一時的に隅角が狭くなります。

隅角が多少狭くなっても、薬の効果は一時的なので、通常は何も起こりません。

 

臨床経験上も、高頻度に眼圧が上昇するわけではありませんので、内服薬を禁止してもらうことはほとんどありませんが、元々隅角がかなり狭い方は注意が必要です。

抗うつ薬などを日常的に内服している方は、内服を続けながら定期的な眼圧測定を行い、状況に応じて白内障手術やレーザー虹彩切開術などの予防的手術を検討します。

緑内障の8割以上は、隅角は狭くありませんので、多くの緑内障患者さんは「緑内障の方は注意」という注意書きを気にしなくてもかまいません。

 

しかし隅角に異常があっても無症状ですので、眼科にかかっていない方は、ご自身の隅角が狭いことに気づいていません。

隅角検査は通常の健康診断や人間ドックの検査項目には入っていません。

狭隅角はアジア人に多く、その中でも女性、遠視、高齢者に多いとされています。

特に遠視の中年以降の女性の方で眼科にかかったことのない方は、眼科でチェックを受けてみては如何でしょうか?