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2019.08.15

水疱性角膜症の治療について

 

角膜内皮細胞が減少すると、水疱性角膜症を引き起こし、著しく視力が低下します。

以前は、角膜全部を取り替える全層角膜移植が行われていましたが、近年は、角膜内皮細胞だけを取り替える角膜内皮移植術が行われるようになりました。

角膜内皮移植術は、術後の不正乱視や感染や拒絶反応が少ないという利点があります。

 

手術は、薄いシート状のドナー角膜内皮を、目の中に入れた空気の浮力を利用して角膜の内側に接着させることで移植します。

手術適応は、比較的初期の水疱性角膜症であり、発症後長期間たって角膜深部に不可逆性の混濁が出ている場合は、従来の全層角膜移植を選択します。

 

 

水疱性角膜症。

角膜がすりガラス状にくもっています。

 

角膜に染色液をつけて、青色の光を当てると、角膜表面に大きな水疱ができていることが分かります。

角膜表面に凹凸があり、痛みを感じます。

 

角膜内皮移植術後、3ヶ月。

角膜が透明になり、視力が改善しました。

 

角膜内皮移植術後、3ヶ月。

角膜表面に凹凸がなくなり、痛みも感じなくなりました。

 

角膜内皮移植術後の角膜内皮細胞。

移植した角膜内皮細胞は、うまく生着して機能しています。

 

 

最近、培養した角膜内皮細胞を前房内に注射することで角膜内皮組織を再生する新しい再生医療も試みられています。